境界を依頼者の有利に決められるか

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私は土地家屋調査士として、日々、土地の境界に関わる仕事をしてるわけですが、たとえば、分筆登記の依頼をお受けすると、分筆する土地の境界を調査します。しかし、調査していると、依頼者の建物が境界をはみ出しているような場面に遭遇することがあります。

境界をはみ出しているこのようなことが起こる原因としては、先代が建てた建物で口約束で土地を譲ってもらっていた、境界付近に別の石が埋まっていたりして境界を間違ってしまうような紛らわしい状態になっていた、などが考えられるでしょうか。

境界はお隣に確認してもらって、お互いにそこが境界であることを認めていなければ意味がありません。

そこで、すでに建物がはみ出して建っているときに、お隣とどう話をしていけばいいかということが問題になります。
「もう建物も建っていることだし、建物も取り込んだ位置で話をしましょう」ということができるかできるでしょうか。

結論から言えば、そのようなことはできません。

いくら依頼者の不利になろうとも、やはり、客観的に境界と認められる位置で、建物がはみ出していればはみ出した位置でお互いに確認することになります。

土地の境界が安定していて、安心していられるのは、結局はお隣同士の信頼関係に根ざしているところが大きいと感じています。そのため、お隣の信頼を裏切るようなことは絶対に避けなければなりません。もし、たとえば、建物がはみ出しているようなことが見つかったら、お隣と話し合って、お互いが納得できる方法とることを考えていくべきだと思います。
また、なぜそのような状況なったかを調べておくことも、話し合いをする上で大切です。

こうして、お隣同士の信頼関係を築いていくことが、長い目で見れば、依頼者の利益であると考えています。